2010年5月18日火曜日

空き缶の人の最期

僕の向かいの家にはおばあさんが一人暮らししています。
おばあさんはもう80過ぎてんだけど、うちでは〇〇のおばちゃんと呼んでいます。
たぶんおばあちゃんになる前からそう呼んでいたのでしょう。
で、そのおばあさんの息子さんが亡くなったそうです。
その人は僕の父と同級生。つまり今年度60。
一人暮らしで、お兄さんが電話しても連絡がつかないので見に行ったら、既に亡くなっていたんだそうです。
死因は脳梗塞。
仕事してるんならもっと早く分かりそうなもんだと思い母にその人の仕事を尋ねると、空き缶を集めているとの答えでした。

ああ、あの人か。
いや、どんな人か見たことはないけれど、明け方に缶をガチャガチャやっている音に睡眠を邪魔されたことは何度となくあります。
向かいのおばあちゃんも息子さんの空き缶集めに協力していたんでしょうね。
でもやっぱりあまり周りは快く思っていないようで、うちの母なんかはそのことを言うとき露骨に声を潜めたりします。
そりゃあ朝ガチャガチャされるとね。
でもあんまりそれについてはね。
亡くなった人にそんなねえ、って多分母と同じだこの態度。

60歳、脳梗塞、一人暮らし、空き缶の仕事、残された年老いた母親。
色々想像してしまうなあ。
ちゃんと食えていたんかとかさあ。
塩分の多い食事だったのかなあとか。
年金払わなくて正解だったんだろうなあとか。
長く空き缶生活を続けるのと60で逝くのとどっちが良かったんだろうかとか。
おばあさんはつい最近ご主人をなくされたばかりなのに、これは堪えるだろうなあ。
80も過ぎるとある程度人の死は慣れるのかもしれないけれど、旦那、息子だからなあ。

でもそれを言うと僕も同居している祖父と祖母を小1小3で亡くしてるわな。
で、それは今の内向的で根暗な人格の形成に与えた影響は小さくないかもしれないなあ。
小6くらいで隣のおばさんから俺が明るくなったと母が言われたくらい引きずってたそうだし。
もっとも祖父母が亡くなる以前から内向的な性格だったような気も多分にするが。

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